2016.11.10 閲覧数:3,060
昨日、2016年11月10日(水)JST、第45代アメリカ大統領に共和党候補のドナルド・トランプ氏Donald Trump が就任することが決定しました。
2017年1月20日に正式に大統領に就任する予定ですが、次期大統領が、過激な発言で知られるトランプ氏になることが決定したという事で、現在留学準備中のCAP生の保護者と現在留学中のAD生から、「新しい大統領がトランプ氏に決定したことで留学生にとって、どのような影響が予想されるか?」という質問を受けました。
一人の留学屋さんとして、「アメリカ留学に与える影響」という点に絞って、現時点で私が感じていることを書きます。
私は、1988年に出版された「交渉の達人 トランプ 若き不動産王の構想と決断:ジェローム・トッチリー著」というダイヤモンド社が出した本を、アメリカンドリームを操業して2年後の27歳の時に読んで、トランプ氏の存在を知りました。
読んで感じたことは、「このトランプと言う人は頭が良いかもしれないが、法律の盲点をついて、様々な理屈をこねて欲しい物をごり押しで手に入れる。僕は生まれたばかりのアメリカンドリームという会社を、このトランプの経営するトランプ・オーガニゼーションのような会社には育てないようにしよう。」と、思ったことを覚えています。
それから30年近く経って、トランプ氏が大統領選に立候補して、「あの時のハンサムな若手実業家も歳を取ったなあ。」という思いとともに、ここまで報道を通じて見ていました。私は今回の大統領選挙ではヒラリー・クリントンが勝つものとばかり思っていましたが、昨日最初の開票速報を見た時に考えが変わりました。社内で、「この選挙、トランプが勝つかもしれないぞ。」と、話し合いました。その理由はこうです。
「アメリカ人は、みんなリーダーになりたがりばかりだろう。」と思われるかもしれませんが、私の考えは違います。確かにリーダーになりたがる人も大勢いますが、それをはるかに上回る「フォロワー」、つまりリーダーに従って、後について行きたがる人たちがいます。彼らフォロワーは、「このリーダーについて行けば、自分は幸せになれるはずだ。」と信じて、リーダーをサポートします。数の点で、リーダーとフォロワーを比べると圧倒的にフォロワーの方が多いです。
トランプ氏は、「大統領になりたい。」と思って、そのための方法をこれまでの彼のビジネス展開と同じように考えたのではないでしょうか?そして出た答えは、「政治は力だ。力は数だ。圧倒的な数の『フォロワー』達を味方に付ければ、選挙は勝てる。」と、方針を立てたのではないか、と私は考えます。
多くのフォロワー達はアメリカに暮らす一部のお金持ち達と違って、裕福ではない暮らしをしています。フォロワーの特性として、「リーダーが変われば、私たちを助けてくれるに違いない。そのためにリーダーを支えよう。」と考えます。
トランプ氏の発言を聞いていると、とてもシンプルで分かりやすい英語で、大きな声で、深く考えなくても理解できるような、そう、ある種、過激と言える直言を大きなジェスチャーと共に語ります。その発言には「フォロワーを動かす」という目的があるだけで、あまり政治的なポリシー等は無いのではないか、と、私は考えています。
そして彼の読みは的中しました。世界中が驚いたと言われる昨日の選挙結果に、恐らくトランプ氏だけは驚かず、「とてもシンプルな理論だ。数を動かせば勝つ。自分で考えて行動する少数のインテリを動かすより、指示されることに慣れている圧倒的多数の、現状に不満を持つ人間達を動かす方が簡単だ。私は、この簡単な理論を実行に移しただけだ。いつもの仕事のように、人がやらないようなスピードとパワーを込めて。」と思っているように想像します。
それでは大統領就任後はどうなるでしょうか?私は彼はかなり現実的な動きをするのではないか、という見方をしています。周囲を驚かせた数々の公約のすべてを実現しようとはしないでしょう。
最も気になる移民法に関してはどうでしょうか?恐らく、今回の選挙運動で目玉公約のように掲げた、「不法移民を食い止め、米国内を保護する」という点に関しては、いくつかの施策を実行しようとするでしょう。しかし、移民法の管轄内でもある「留学生の受け入れ」に関しては、大きな制限は設けてこない、のではないか、と、私は見ています。
ノーベル賞学者の数等から見ても、世界の中で圧倒的な優位に立つ米国の高等教育は
アメリカにとって最強の商品だ、と、彼は考えるのではないか、と、思うからです。
ビジネスマンである彼は、「強い商品は価格を上げて、たくさん売れば利益は最大になる。」と考え、学生ビザの発給のための費用の値上げはあり得るかもしれません。しかし、学生ビザの発給を制限して留学生の数を減らすようなことはしないのではないでしょうか。
なぜなら海外の留学生を大量に受け入れて、多様化した物の考え方をキャンパスの中に取り入れているアメリカは、世界最大の留学生受け入れ国であり、その結果として世界最強の高等教育を持つに至っている、ここを変えようとはしないのではないか、と私は思います。
ただし各種メディアで言っているように、「まだ彼がどんなことをこれからやろうとするのか、は誰にも分らない。」と言うのが事実です。そしてこれまでの彼の軌跡を見てみると、彼は行動が早いのとともに、うまくいかない、となると方針を転換することにまったく躊躇は無いようです。
したがって、これからの彼の政策や施策にも、多くの変化が予想されるでしょう。私は、一人の留学屋さんとして、それらを注視しつつ、留学生への必要なサポートをしていこうと思います。
ちなみに、かつてヒラリーのご主人、ビル・クリントンが大統領だった時に、600項目にも及ぶ移民法の変更が行われ、留学生たちには大きな混乱が起こりました。しかし、正しい見方と正しい行動に徹した結果、私たちが関わっている留学生には、何一つ実質的な被害はなく乗り越えることができました。
「見えない危険におびえる必要は無い。ただ、向かい風や困難はつねに存在する、と知って備えることだ。これらの困難を乗り越える力を身に着けるために、留学生たちは我が家をあとにしたのだから。」
2016年11月10日
(株)アメリカンドリーム
代表取締役 吉川浩司
(アメリカ合衆国第45代 大統領決定の翌日)
【追伸】:今、この記事を書き終わって、30年近く前に読んだ「交渉の達人 トランプ」のページをパラパラとめくっていたら、最後の章の最後の段落は、「トランプを大統領に?」というタイトルでした。野心家と言われ続けた彼にとって、アメリカ合衆国の大統領になることは、ずっと視野の中にあったのかもしれません。
もしそうであれば、大統領になることで目的を達成したことにするのではなく、「歴史に残る良い大統領になる。」という点まで、彼の目標が至っていることを希望することにしましょう。
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